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ISU 日本スケート連盟

新入会員へのメッセージ

故 稲田 悦子 先生 
(1997年05月22日)

インストラクター協会が早や25回の年月を迎えることを驚きと喜びでいっぱいです。僅かな人数からスタートした協会員が今、150名を超える状況と聞きただただ感無量です。
希望を持って、情熱を持って入会された方々の少しでもお役に立つ事が出来ればとこの原稿を書いております。

私の個人的な尋問を含めて、…協会に入会すれば何の利点があるのでしょう…具体的な答はおそらく返って来ないと思います。
只、協会に加入しなくてはインストラクターとして、社会的に(この小さい業界の中のみかもしれないが)認められないと思うなら、いくらかその意義も有ったと考えられます。
出来ることなら、その利点をはっきりと新入会員に告知出来るような新しい企画を生みだしていただきたいと願っています。

1.新人発掘にはスケート教室の発展こそが重要である
インストラクターはその指導をうけようとする人たちを只、リンクで待っているという消極的な状態でスタートをしなくてはならないという欠点があるが、先ずスケート教室は、選手なり個人レッスンに進む苗床であると考えます。
スケート場あってのインストラクターであり、亦氷の無いところでは教えることができない。云うならばスケートリンクは大家さんであり、大家が潰れては店子が生きて行けないと云う関係をよく身を持って知り、大家も立ち行くことができるように、大いに店子は努力しなくてはならないのです。
自分の収入があれば、自分だけ生活が充たされれば…と云う考えでは、今の経済社会では成り立っていかない仕組みになってます。

2.お金のかからないスポーツを云う意識を育てよう
フィギュアスケートはお金がかかると言われ続けて来ました。実際今まではお金がかかりました。が、スケート教室を、充実した一つの選手コースの出発点と考えるならば、そのお金がかかることも或程度解決するのではないでしょうか。
コンパルソリーが廃止された今、いかに一人の子どもの持っている素材(運動能力)が人より優れているかが問題で、いかに上手に指導するかと云うことより以前のことと考えられます。
教室の段階で中で、その見きわめもつくと思います。その中から専門コースとして、初級から三級ぐらいまでは出来得るならば教室方式で育成行けたら素晴らしいことだと思います。
150数人のインストラクターの中から、各々一人でも世界に羽ばたくスケーターを送り出そうという気持ちを持っていただきたいものです。それには今、私が申している「その素材」をいかに見出すかが運命の分かれ道といっても過言ではありません。

3.チャンピオンはひと時、人生は命あるかぎり続く
新しくインストラクターになられた方々にお願いしたい。
縁あって選手として育てていく過程に於いて、一日の内で親と一緒にすごす時間よりリンクでインストラクターと共にいる時間の方が永くなることも有ると考えます。
スケート指導の中から、社会人としても立派に適用する人としても育てて行かねばならないのです。「親の背を見て子は育つ」と言う言葉があります。親の処をインストラクターに入替えて考えてみて下さい。
この処、日本代表として世界選手権、シニアの色々の試合の遠征の中で大いに考えさせられる選手が居ると言うことを聞いて居ります。「ええ、ナンデー」と驚かされることが有るようです。「チャンピオンになる前に、人間つくれ」この言葉も聞こえて参ります。

反省と願いをこめて最後の言葉といたします。